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長時間同じ姿勢を維持した場合に起こりやすい循環障害と深部静脈血栓症(DVT)
筋肉の収縮は、特に脚部の静脈中の血液の流れを持続させるために重要です。長時間同じ姿勢を維持した場合、特に座った状態では、脚部の静脈に血のかたまりができることがあります。その結果、足のむくみ、痛み、不快感などを引き起こす恐れがあります。
長時間同じ姿勢を維持すると、脚部の奥にある静脈に血のかたまりができる、いわゆる「深部静脈血栓症(DVT)」の原因となることで知られています。研究によって、DVTは、車、バス、電車、航空機等による長距離旅行中に、長時間にわたって同じ姿勢を維持した場合に起こりやすいことがわかりました。世界保健機関(WHO)は、空の旅においてDVTのリスクが高いことを懸念し、長時間にわたる姿勢の維持以外にも、他の原因があるのかどうかを調査するために、専門的な研究を開始しました。
DVTが起きたとしても、多くの場合は、血栓が小さく、症状は現れません。人間の体は、徐々に血栓を分解する機能を備えており、身体への長期的な影響はありません。血栓が大きくなると、足のむくみ、圧痛や痛みを引き起こす可能性があります。時によっては、血栓の一部が切り離され、血流に乗って肺にとび、肺の血管を閉塞してしまうことがあります。この症状は肺塞栓として知られており、胸の痛みや息切れ、さらに深刻な場合では、突然死を招くこともあります。肺塞栓の症状は、血栓ができてから数時間後、若しくは、数日後に発生することもあります。
渡航中にDVTが起こる可能性は極めて稀です。ただし、以下の項目が1つ以上該当するお客様は、特にDVTが起きやすいといわれております。
- 深部静脈血栓症又は肺塞栓症をお持ちのお客様
- 深部静脈血栓症又は肺塞栓症をお持ちのご家族がいるお客様
- エストロゲン経口避妊薬(ピル)又はホルモン療法(HRT)を受けられているお客様
- 妊娠中のお客様
- 最近、特に腹部、骨盤部、脚部の手術を受けた又は外傷を負ったお客様
- 悪性腫瘍をお持ちのお客様
- 遺伝性血液凝固異常症をお持ちのお客様
予防対策
上記の項目に該当しないお客様が、航空機に搭乗されることにより、DVTがおきる可能性は極めて低いです。従って、そのようなお客様にとって、予防策がどの程度効果的かは証明されていません。予防策が裏目に出る可能性も考えられます。深部静脈血栓症の予防対策として一般的なものを、以下にいくつかご紹介しましょう。
長時間にわたる空の旅では、客室内を歩き回ることで、同じ姿勢を保ち続ける時間を少しでも減らすことができます。しかし、この方法は常に可能とは限らず、万が一、航空機が突然乱気流に遭遇する可能性を考えた場合、予防効果は、怪我を負う危険性と隣り合わせだといえます。賢明な妥協策としては、2~3時間おきにトイレに行く等の機会を利用して、機内を歩き回るのが良いでしょう。航空会社の多くが、飛行中、座席でできるエクササイズに関するアドバイスを行っています。ふくらはぎの筋肉を動かすエクササイズは、血液の循環を促進し、不快感や疲労、凝りを軽減するといわれており、DVTの予防対策としても効果的かもしれません。手荷物は脚部を圧迫するような場所には置かないようにしましょう。また、ゆったりとした快適な服装を身に付けましょう。
ご自分の足にあった段階式着圧ソックスを着用することも、予防対策の1つです。このソックスはふくらはぎの筋肉を引き締めることで、深部静脈の血液の流れを改善します。さらに、長時間の空の旅において一般的な足首の腫れを防ぐ効果もあります。ただし、ソックスは正しいサイズを選ばなければ効果が得られません。従って、掛かり付けの医師又は旅行医学に詳しい病院で、お客様にはどのタイプのソックスが適しているかお問い合わせいただく必要があります。
アスピリンは、副作用の危険性が指摘されており、効果が明確には証明されていないため、渡航によるDVTの予防対策としては使用を控えるようお勧めします。
DVTを起こす危険性の高いお客様は、ヘパリン注射などの特殊療法を受けることがあります。客室乗務員は注射を打つ訓練は受けておりませんので、お客様はご自身で注射による投与の方法を習得されるか、有資格者を手配されるようお願いします。
乗り物酔い
胃(又は頭部)に不快感を感じた場合、恐らく乗り物酔いでしょう。でも、心配しないでください。その不快感を軽減する対策をご紹介しましょう。
- 空腹時の渡航は避けてください。一般的には、空腹時のほうが乗り物酔いを防ぐことができると考えられていますが、むしろ助長します。果物、野菜、サラダ、クッキーやチョコレートバーなどの軽食は、搭乗前又は飛行中の軽食としてお勧めです。
- コーヒー、紅茶、飲酒、喫煙やスパイスの効いた食べ物、脂肪の多い食べ物は避けてください!
- ビタミンB1を摂取すると良いでしょう。ビタミンB1は神経刺激を伝達する役割があり、体の平衡感覚を修復します。ビタミンB1は、アーティチョーク、魚介類、オートミール、無農薬米、アスパラガス、小麦製品、豚肉に多く含まれています。
- 搭乗前に、ショウガ茶を少し飲みましょう。ショウガ茶は、薬局又は健康食品店で購入できるほか、ご自分でも簡単に作ることができます。根生姜のスライスを2、3切れ入れて、お湯を注ぐだけです。10分間煎じて、茶こしで漉しながら注ぎ、好みに応じて蜂蜜で甘さを調節してください。
糖尿病のお客様へ
糖尿病のお客様が、海外で、規定されたカロリー単位又はブレッドユニット(BU)に従って食事制限を行うのは、非常に難しいことです。それでも、エキゾチックフードは、即座に代謝性疾患を引き起こす可能性があるため、避けてください。機内のお食事に関しても、同様に注意が必要です。インシュリン注射を必要とする糖尿病のお客様は、投薬量及び注射の種類に関して、旅行前に、掛かり付けの医師に相談し、旅行中の投薬計画を作成してください。下痢や嘔吐時には、掛かり付けの医師に相談して体内の液体水分量を調べ、必要であれば、インシュリンの投薬量を調節する必要があります。
女性のお客様へ
経口避妊薬を服用している女性のお客様は、西へ向かう航空機に搭乗する場合、1日が少なくとも6時間延びるため、薬を余分に服用することをお勧めします。また、搭乗前に、掛かり付けの医師にご相談されるようお勧めします。
このページに掲載されている情報は、世界保健機関(WHO)のウェブサイトを参考にしています。http://www.who.int/ith/en/
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